「上質世界」とは自分が大切にしている人、物、信条などが入る脳の場所です。心のアルバムと言ってもいいでしょう。
その人にとって【←ここがポイント】大切な人、好ましいもの、理想、信条等などが写真のように貼られているのです。その写真を手にいれようとして、人は行動するのです。

例①愛する人との距離が離れると感じたとき、「比較の場」の天秤が傾きます。
「こうなって欲しい」と「現実はこうだ」を比較します。差が大きければ大きいほど、私たちは何らかの行動に出ることになります。
例②甘いレモネードの好きな人が、酸っぱいレモネードを飲んだとき、理想と現実の天秤が傾き、自分の好みの味になるまでシロップを入れる行動に出ます。

「上質世界」に入っているイメージ写真は自分の「基本的欲求」を満たすものです。

「全行動」の4つの構成要素は連動しています。
否定的に考えると感情は否定的になります。
選択理論では変えにくい「感情」、「生理反応」に焦点を当てないで、変えやすい「行為」と「思考」に焦点を当てるようにします。
※車図参考

「怒る」ことが習慣化している人は、怒りやすくなっていて瞬時に怒るので、怒る選択を自分がしているとは思えないのです。
自分の行動は自分の選択だとわかってくると、違う行動を選択しようと思うようになります。

「基本的欲求」は5つあります。
【生存】【愛・所属】【力】【自由】【楽しみ】です。
マズローは欲求の階層説を提唱していましたが、亡くなる前に階層で考えるのは「間違っていた」と側近に話したと聞いています。
グラッサーは欲求には強弱の違いがあると言っています。
ここからその人の性格が出てくると考えられます。
「力」の欲求が強い人同士は十分に気をつける必要があります。
相手をコントロールしようとするからです。
相手をコントロールしようとする気持ちは誰にもありますが、「力」の欲求を健全に満たしている人は、何が何でも相手をコントロールしようとは思わないでしょう。
「力」の欲求は、貢献すること、人助けをすること、知識を身につけること、等で満たされます。
健全に満たすか、不健全に満たすのかどちらかです。
満たさないで長い時間が経過すると、不健全な満たし方を選択することになるでしょう。
▶『「力」の欲求の不健全な満たし方の代表的なものは、暴力と言ってよいでしょう。
５つの基本的欲求は一人一人強弱の違いはあっても誰もが持って生まれるものです。
その人を行動に駆り立てる動機の源です。
健全に満たせない場合は、不健全な満たし方であっても満たさざるを得ないのです。
きれいなお水が無かったら、汚いお水を飲んででも生存の欲求を満たすように、心理的欲求も健全か不健全いずれかで満たさざるを得ないのです。
「基本的欲求」は存在しているものであって変えられないものです。
変えられるのは「上質世界(心のアルバム)」の写真です。
健全なものに貼り替えることは可能だからです。』

「知覚された世界」」は現実世界を知覚によって把握したものです。
五感、知識のフィルター、価値のフィルターを通して、私たちの「知覚された世界」が出来上がります。
知覚の仕方が違っているので、私たちはそれぞれ異なる「知覚された世界」を持っています。
上質世界も違い、知覚の世界も違うことから、コミュニケーションの難しさと面白さがあります。

「比較の場」はこの上質世界と知覚された世界を天秤にかけます。
天秤が傾くことが私たちの行動を促すことになります。
比較の場はたくさんあって意識していない時でも作動しています。
適切な室温と現実の室温を比較します。寒いと感じれば衣服を羽織るという行動を起こします。

外的コントロールは、外側から人を変えようとすることで、内的コントロールとは人の動機付けは内側から、と考えます。
外的コントロールは他人に使うもので、自分に使うという表現はあまりしないほうが良いでしょう。
「自分に厳しい。自分を受け入れていない。」というような表現ができます。
また、天秤が傾いて嫌な経験をしたら、すぐに外的コントロールをされたという人がいますが、そのような表現はふさわしくないでしょう。
間違ったことをしてそれを指摘されて、外的コントロールをされたというのは少し違います。
外的コントロールをする人は、致命的習慣を身につけています。
それは次の7つです。
「批判する」
「責める」
「文句を言う」
「ガミガミ言う」
「脅す」
「罰する」
「褒美で釣る」
7つしかないわけではありません。
選択理論は内的コントロール心理学に属するものです。
身につけたい７つの習慣は次のようなものです。
「受け入れる」
「違いを交渉する」
「励ます」
「尊敬する」
「傾聴する」
「支援する」
「信頼する」
心理学の多くは外的コントロール心理学に分類されます。
多くの心理学の中で、選択理論心理学ほど人が変化するものはないと思います。